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部下から評価が高い上司が実践する3つの方法

部下から評価が高い上司が実践する3つの方法

部下の目標を引き出してあげることも大切

◇部下から評価されない上司の実情

皆さんは、「部下からナメられているんじゃないか」と思ったことはありませんか?

  • 指示を出しても言うことをきかない
  • 自分の話を聴く態度がふてぶてしい
  • 不満に思っていることを表情に出す
  • ほかの人の言うことは聴く
  • ほかの上司のことを自分の前でうらやましがる

仕事を任せ、部下と一緒に仕事をしていると、うまくいかないことも出てきます。そんなとき、部下があからさまに不満を顔に出し、上司の指示を聞き流したり、ふてぶてしい態度で話を聴き、「あなたのことは認めていません」と言っているかのようなスタンスで上司と接することがありますよね。

もしかして、自分は部下にナメられているのかと思うと、怒りも湧いてきますが、言い換えれば「部下が自分を評価していない」「自分を尊敬していない」ということです。

部下から上司として認められていないこの状況では、仕事を任せることは非常に難しくなりますし、上司としての自信もなくしてしまいます。

部下に評価されないのは、上司の「仕事の能力」の問題なのでしょうか?

部下のほうが能力があり、優秀であるためにナメられてしまうならまだ諦めがつきますが、ほとんどの場合、仕事の能力は上司のほうが優れています。部下と比較すれば、上司のほうが仕事がデキる。にもかかわらず、部下が上司を評価しない。

むしろ、仕事の能力が自分より明らかに低い上司でも、なぜか部下から尊敬を集めているケースさえあります。

つまり、部下から評価されるかどうかは、上司の仕事の能力は関係ないのです。

◇部下から見たポジショニング、あなたは何ランク?

ナメられない上司というのは、実は「ポジショニングがうまい」のです。

ポジショニングというのは「位置決め」のことです。部下から見てどの「位置」に自分がいるかを決め、その位置を取る行為を「上司のポジショニング」といいます。

部下が上司をナメているのか評価しているのかは、その「位置」が大きく影響します。位置が上がるほどに評価され、下がるほどに敬意がなくなります。

具体的には、以下のようなポジショニングランクがあります。

ランク① 「無害な人」……いてもいなくても同じ職場の同僚
ランク② 「話し相手」……仲良くおしゃべりできる相手
ランク③ 「情報屋」……役立つ情報をくれる人
ランク④ 「相談相手」……悩みを打ち明けることができ、相談に乗ってくれる人
ランク⑤ 「同志」……同じ目標を目指し、頼れる存在
ランク⑥ 「憧れ」……生き方・あり方・存在そのものが目標

では、1つずつ見てみましょう。

ランク① 「無害な人」……いてもいなくても同じ職場の同僚

一番下のランクは、いてもいなくても同じ、上司に対して関心が低く、ただ仕事を一緒にする作業仲間の位置です。

ランク② 「話し相手」…仲良くおしゃべりできる相手

休憩室であったら楽しくお話するし、挨拶もきちんと交わす。関係性はよさそうに見えて、ただの話し相手。上司として評価される位置ではありません。

ランク③ 「情報屋」……役立つ情報をくれる人

情報屋で止まってしまう上司は意外に多いです。うんちくが好きで、聞いてもないのにあれこれ教えてくれる役に立つ人。部下が本当に知りたいことや、悩んでいること、目指したい目標を引き出していないので、ただ情報をくれるだけの位置で収まってしまいます。

ランク④ 「相談相手」……悩みを打ち明けることができ、相談に乗ってくれる人

ここまでくると、上司に対して一定のリスペクトがある状態です。仕事の悩み、プライベートの悩みを打ち明け、どうしたらいいかを相談できる相手であれば、関係性は好ましい状態と言えるでしょう。しかし、悩みを相談するだけで終わっては、仕事は前に進みません。悩みから目標へと視点を昇華させる必要があります。

ランク⑤ 「同志」……同じ目標を目指し、頼れる存在

あなたは、部下の目標を把握しているでしょうか? 仕事をしている中で、部下が何を目指し、どんな力を身に付け、どんな状態を獲得したいと考えているのか、目標を引き出し、一緒に目指す「同志」。同志とは、同じ志を持つ人のことです。自分の上司が同じ志を持って頼ったり、頼られたりする関係性になれば、大変好ましい状況だと言えます。

ランク⑥ 「憧れ」……生き方・あり方・存在そのものが目標

最後は「憧れ」です。自分よりもはるかに上の存在であり、心から尊敬し、こんな人になりたい、こんな人でありたい、この人とずっと一緒に仕事をしたいと思えるような位置。もはや、ナメる・ナメないの話ではありません。

◇ポジションを上げる具体的な方法

皆さんは部下に対して、6つのランクのうち、どこに位置していると思いますか? おそらく部下が複数人いる場合には、その部下によってポジションランクが異なるのではないでしょうか。

ある部下にとっては無害な人、別の部下にとっては憧れ、また別の部下にとっては情報屋というように、部下ごとに異なるポジションに位置することが普通です。

皆さんが日々「この部下は仕事がしやすい」「この部下は仕事がしにくい」と、部下によって付き合いやすさが変わるとしたら、それは実は、あなたのポジションが違うのです。

ではどうすればポジションを高めることができるか、具体的には以下の3つのステップを踏んでみましょう。

① 自分のポジションランクを正しく把握する
② 「狙うポジション」を決める
③ ポジションを上げるためのアクションを増やす

自分のポジションランクを正しく把握するためには、「部下から見た自分」という視点が必要です。上司であるリーダーは、上司から見た部下がどんな人であるかをよく観察していると思いますが、「部下からどう見られているか」を意識している人は多くありません。部下からどう思われているのか、それをこのポジションランクに当てはめて考えてみると、自分の取るべきアクションが見えてきます。

② 「狙うポジション」を決める
次に、狙うポジションを決めます。ここで私は、基本的には⑤ランクの「同志」を狙うといいと考えています。部下との関係において、④までの関係というのは、ベストではありません。⑤か⑥の関係になると、任せやすさ、任せた後のスムーズさが飛躍的によくなります。ランク⑤の「同志」を目指すと、自然と相手の悩みも引き出せるようになるので、④は目指さず、⑤を目指すことをおすすめします。ランク⑤の部下が増えると、その中の何人かは⑥へとステップアップしてくれるはずです。

③ ポジションを上げるためのアクションを増やす
「同志」になるためには、上司も部下も目標を持っていることが前提です。上司であるあなたが部下に目標を示し、部下は自分が達成したい目標を持っていなければ、「同じ志」という状態になりません。したがって、まずあなたが目標を持つこと。そのうえで、部下の目標を引き出し、共通の目標へすり合わせて行くことが必要です。

◇相手の大切なことを大切にする

同志の関係になるには、部下の目標を引き出す必要があります。皆さんは部下の目標を上手に引き出しているでしょうか?

目標とは、掲げたら目標になるわけではありません。売上目標、達成目標など、上から与えられただけの「目標」は、形式的に掲げているだけになりがちで、本人が本当に目指したいと思えるものになっていることが重要です。

部下は、自分が何がしたいのか、どうなっていきたいのか、ということを明確に持っていないケースが多いと思います。自分の向かう方向性を自分で把握できていない部下と「同志」になることはできません。

そこで、上司は部下の目標を「本当に目指したいもの」として引き出す必要があります。

  • これからどうしていきたい?
  • どんな成果を出したいと思っている?
  • どんな能力を身に付けたいと思っている?
  • どんなキャリアを歩みたいと思っている?
  • どんな人物になりたいと思っている?
  • もしもそんな未来になったらどんな気持ちになる?

上記のような質問を、部下と時間を取って話し合い、繰り返すことで、部下の目標もはっきりしたものになって行きます。

「目標」を自分のものにするのは、社会人にとってなかなか難しいことです。

皆さんも、新入社員の頃は、目標を自分のものにできていなかったのではないでしょうか。いつしか経験を積むうちに、「絶対に達成したい」「やり遂げたい」という気持ちを育ててきたのだと思います。

上司は、そのスピードを早めてあげることが重要なのです。

部下に仕事を任せる際、「いかに仕事を進めるか」に目がいきがちですが、「上司のポジションを高める」ことに注力すると、急がば回れ、部下の目標を上手に引き出し、自分の目標を伝え、同志の関係性になることが、仕事の生産性を大きく高めることになります。

自分のポジションを高めることは、部下の大切にしていることを大切にすることです。部下が目指したい目標、部下が達成したいゴール、部下が実現したい未来、それが何かを聞き出すことは、部下が大切にしたいことを理解することと同じです。

したがって、自分のポジションを高めることは、自分のために行うことではなく、部下のためでもあるのです。部下にとって、上司が自分の大切にしていることを理解し、一緒に目指してくれることは、仕事のやりがいを大いに高めてくれます。

自分のためにも、部下のためにも、「上司のポジショニング」に着目し、相手にとってより価値の高い存在に変革できるよう、上司も努力が必要です。ぜひチャレンジしてみてください。